2013 年 104 巻 4 号 p. 579-588
(目的) 「泌尿器科領域における周術期感染予防ガイドライン(2006)」の改訂にあたり,日本における周術期感染症に対しての予防抗菌薬の投与方法の現状を把握する. (対象と方法) 日本泌尿器科学会の承認を得て,2011年に各施設において周術期感染症予防抗菌薬の投与方法についてのアンケート調査を専門医基幹教育施設836施設に依頼し,446施設(回答率53.3%)から回答を得た. (結果) 周術期感染予防ガイドラインの遵守について,遵守している6.5%,おおむね遵守している69.7%,あまり遵守していない22.0%,まったく遵守していない1.6%,であった.術式・検査別の遵守率では,開腹清潔手術48.5%,開腹準清潔手術66.4%,開腹消化管利用手術61.8%,腹腔鏡清潔手術54.1%,腹腔鏡準清潔手術61.2%,TURBT71.5%,TURP68.9%,経尿道的尿管検査・手術68.2%,前立腺生検43.2%,膀胱尿道鏡検査42.2%,であった.投与日数においては,清潔手術,TURBT,経尿道的尿管検査・手術,前立腺生検,膀胱尿道鏡検査でガイドラインよりも長期に設定している施設が多くみられた. (結論) 使用抗菌薬の種類に関しては,いずれの術式においても概ね遵守されていたが,抗菌薬の投与期間が長期に設定されている施設もみられた.