日本泌尿器科学会雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
ISSN-L : 0021-5287
原著
難治性前部尿道狭窄症に対する尿道再建術の経験
青木 勝也堀 俊太森澤 洋介中井 靖三宅 牧人穴井 智鳥本 一匡米田 龍生田中 宣道吉田 克法藤本 清秀
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 107 巻 4 号 p. 227-232

詳細
抄録

(目的) 前部尿道狭窄に対する初期治療として施行した内尿道切開術や尿道ブジーによる拡張術で改善しなかった前部尿道狭窄症に対する尿道再建術の術式選択および治療成績について検討を行った.

(対象と方法) 先行治療として内尿道切開または尿道ブジーによる拡張が行われた後に再狭窄を来した12例(小児3例,成人9例)を対象とした.狭窄原因は医原性4例,特発性4例,尿道下裂術後3例,カテーテル自己抜去による外傷性1例であった.11例では平均2.5回(1~5回)の内尿道切開が施行されていた.膀胱瘻管理は4例で行われていた.

(結果) 端々吻合を4例(1例に球部尿道延長を追加),augmented anastomotic urethroplastyを1例,包皮内板フラップ利用onlay法を3例,tubed法を1例,口腔粘膜グラフト利用onlay法を3例に施行した.端々吻合例を除く尿道再建術の形成尿道長は平均42.5mm(20~90mm)であった.尿流量測定検査による術後最大尿流率は平均18.0ml/sec.(9.3~34.3ml/sec.)で,術前と比較して明らかな改善を認めた(p<0.0001).術後合併症は2例に皮下膿瘍を認めたが,保存的治療にて改善した.

(結語) 尿道形成術には多くの術式があり症例に応じて選択する必要があるが,難治性前部尿道狭窄に対する再建術として有用である.

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本泌尿器科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top