日本泌尿器科学会雑誌
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原著
Intraductal carcinoma of the prostate(IDC-P)の存在が前立腺全摘術術後PSA再発に及ぼす影響
坂本 直孝上田 翔平溝口 瞳川原 一朗小林 武濱口 益光吉川 正博
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2017 年 108 巻 1 号 p. 5-11

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抄録

(目的) 前立腺癌に対する前立腺全摘術術後PSA再発に関してintraductal carcinoma of the prostate(IDC-P)が再発予測因子となりえるか検討した.

(対象および方法) 前立腺癌に対してネオアジュバントおよびアジュバント療法未施行で前立腺全摘術を施行した441例を対象とした.術後PSA再発とIDC-P,リンパ節転移(n),Gleason score(GS),精囊浸潤(sv),被膜外浸潤(EPE),切除断端(RM)に加え,癌体積および癌局在(主要病変がperipheral zone/central zone(PZまたはCZ)癌かtransition zone(TZ)癌か)の8項目についての関連を検討した.経過観察期間は6~164カ月,中央値50カ月であった.

(結果) IDC-P陽性は112例(25.4%)に認められた.5年PSA非再発率はIDC-P陽性ではIDC-P陰性より有意に低率であった(35.8% vs 69.6%).単変量解析ではIDC-P,n,Gleason score,sv,EPE,RM,癌体積において有意差を認めた.多変量解析ではGleason score,IDC-P,sv,EPE,RM,nにおいて有意差を認めた.

(結論) IDC-Pの存在は前立腺癌に対する前立腺全摘術後の生化学的再発に関して独立した予測因子であった.全摘標本の病理報告にはIDC-Pの存在を記載することを推奨する.

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© 2017 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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