日本泌尿器科学会雑誌
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症例報告
続発性性腺機能低下症を併発した前立腺癌の1例
冨山 栄輔永原 啓中野 剛佑中澤 成晃植村 元秀木内 寛今村 亮一宮川 康湊 のり子古賀 実菅尾 英木野々村 祝夫
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2017 年 108 巻 4 号 p. 215-219

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抄録

症例は70歳,男性.2005年他病精査中の造影CTで左鼠径および骨盤リンパ節腫大を指摘されたが,その後の経過観察中に腫大リンパ節は自然に縮小した.2013年造影CTで左鼠径および骨盤リンパ節の再腫大を認め,PET-CTでは前立腺と全身のリンパ節にFDGの異常集積を認めた.PSAは682ng/mlと高値であり,前医で前立腺生検が施行され前立腺癌リンパ節転移(cT2cN1M1a)と診断された.その後アンドロゲン遮断療法(ADT)が開始されたがPSAの低下を認めず,リンパ節は増大し,精査加療目的に当科紹介となった.前医でADTが開始される前のテストステロン値を確認したところ0.05ng/ml未満であり,治療開始前から去勢状態であったことが判明した.性腺機能低下症の精査として頭部MRIを施行し,下垂体に腫瘤性病変を認め,下垂体腫瘍に伴う続発性性腺機能低下症と診断した.本症例は続発性性腺機能低下症を併発し,診断時点で既に去勢抵抗性となっていた稀な前立腺癌の1例であったと考えられた.

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© 2017 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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