(目的) ロボット支援膀胱全摘除術(RARC)は,出血量が少ない,在院日数が短い,術後の回復が早い反面,手術時間が長い.また,尿路変向術を体腔内で行うか(ICUD),体腔外で行うか(ECUD)は意見が分かれる.今回,従来法と比較することでRARC,ICUDの有用性を検討した.
(対象と方法) 2014年12月~2018年7月に当院で行ったLRC 14例,RARC 16例の計30例を対象とした.回腸導管造設術(IC)及び回腸利用新膀胱造設術(NB)を行った23例を,ECUD群(n=13)とICUD群(n=10)とし,2群間の患者背景,手術成績を検討した.
(結果) LRC群と比べRARC群は有意に高齢で(75歳 vs. 67歳,P=0.031),高リスク症例(ASAスコア≥3)が多い傾向だった(31.3% vs. 7.1%,P=0.176).RARC群は有意に出血量が少なかった(150ml vs. 544ml, P=0.003).合併症について有意差を認めなかった.ECUD群と比べICUD群は有意に尿路変向術に要した時間が長く(222分 vs. 181分,P=0.007),会陰部を除く皮膚最大切開長は有意に短かった(3.0cm vs. 6.0cm,P=0.002).
(結論) RARCは安全に施行でき出血量が少ない.ICUDは手術時間が長いものの整容性に優る.