2019 年 110 巻 3 号 p. 153-159
我が国の医療史を言及すると,近世に至るまで主に施療による医療の提供が行われていた.明治期には,健康管理,特に青壮年の育成の重要性から健康保険の必要性が叫ばれ,大正末期には健康保険法が成立した.しかし,国民皆保険の観点からは不十分であり,幾多の改正が行われた.昭和36年(1961年)に国民皆保険医療体制が整い,更なる改正により完成した.
かくの如き江戸時代から今日までの医療制度の変革のなかで,泌尿器科関連治療の診療報酬がどのようであったかを経時的に集積し,興味ある結果を得た.最後に,日本泌尿器科学会保険委員会の過去の活動につき総括し,現医療保険制度の改革に少なからず影響を与えたことを示した.