日本泌尿器科学会雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
ISSN-L : 0021-5287
症例報告
左非触知精巣と近位型尿道下裂を合併したsplenogonadal fusionの1例
山本 顕生松山 聡子松井 太矢澤 浩治松本 富美
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 111 巻 2 号 p. 44-47

詳細
抄録

9カ月男児.外性器異常を主訴に紹介.自然妊娠による第1子.出生前に異常を指摘されず,性別は不明といわれていた.生下時に男児と判定されるも,陰茎の異常を指摘.生後2日目に動脈血酸素飽和度の低下から先天性心疾患(大動脈縮窄,心室中隔欠損,大動脈弁狭窄,僧帽弁狭窄)が判明.6日目に大動脈弓形成術,肺動脈絞扼術が施行された.初診時陰茎は陰囊部尿道下裂の状態で,左精巣は非触知.右は陰囊内に月齢相当の精巣を触知した.混合型性腺形成不全を疑い染色体検査を行ったが,karyotypeは46,XY,SRY+であった.1歳2カ月時に尿道下裂修復術,1歳5カ月時に左精巣の検索を施行した.右精巣は挙上傾向があったため右鼠径部切開にて右精巣固定術を施行.左精巣についても左鼠径部切開にて探索したが確認できず.腹腔鏡にて観察を行ったところ,左腸腰筋の外側に高度の付着異常を伴う左精巣上体と低形成な左精巣を認めた.左精巣の頭側には暗赤色の小塊を伴っていた.精巣血管は同定困難であった.Fowler-Stephens法による精巣固定術は困難と判断.暗赤色の小塊とともに左精巣摘除術を行った.病理組織検査にて精巣と脾組織が確認され,splenogonadal fusionと診断した.

著者関連情報
© 2020 一般社団法人 日本泌尿器科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top