日本泌尿器科学会雑誌
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症例報告
残存絹糸により難治性となった術後後腹膜膿瘍の1例
稲原 昌彦石橋 見季五十嵐 辰男大島 祐二
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キーワード: 後腹膜膿瘍, 絹糸
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2021 年 112 巻 1 号 p. 25-28

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抄録

症例は61歳,男性.左腎腫瘍と同側の副腎腫瘍に対して後腹膜腔経由の開放手術で腎部分切除と副腎切除術を施行した.術後14日目に発熱し,CTで後腹膜膿瘍を認めたため,開放手術による後腹膜腔洗浄とドレン留置術を施行した.ドレン洗浄を繰り返したが,腎上極に届く膿瘍からの膿汁流出が約4カ月間続いた,再手術後127日目でドレン洗浄時に絹糸2本を回収できたのを境に,ドレンからの膿汁流出は止まり,急激に膿瘍縮小を認めた.術中に使用した絹糸が異物となり,治療抵抗性の後腹膜膿瘍の原因になりえることを留意すべきと思われた.

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© 2021 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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