日本泌尿器科学会雑誌
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原著
当院における転移・進行性尿路上皮癌に対するEnfortumab vedotinの初期使用経験
西原 聖顕黒瀬 浩文伊東 直城大西 聡平野 泰嗣末金 宏基渡辺 晃太築井 克聡植田 浩介上村 慶一郎名切 信末金 茂高井川 掌
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2024 年 115 巻 1 号 p. 21-27

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抄録

(目的)2021年12月より本邦でも治療抵抗性の転移・進行性尿路上皮癌に対してEnfortumab vedotinの使用が可能となった.本治療は進行性尿路上皮癌の予後を改善することが期待される一方,治療関連の有害事象が懸念される.今回,転移・進行性尿路上皮癌に対してEnfortumab vedotinの初期使用経験を通してその有効性と安全性について検討を行った.

(対象と方法)2022年1月から当院でプラチナ含有化学療法およびPD-1/PDL-1阻害薬に抵抗性となった患者に対して次治療としてEnfortumab vedotinを投与した患者の有効性と安全性を後方視的に検討した.

(結果)対象患者は16例,年齢中央値は70歳(45~93),有効性については,無増悪生存期間の中央値は7.77カ月(95%CI,3.67~未到達),全奏効率は43.8%であった.安全性については,治療関連の有害事象として皮膚障害が最も多く12例(75.0%),重篤化した2例が中止となり,うち1例はStevens-Johnson症候群の発症を認めた.Enfortumab vedotin投与開始日から皮膚障害発生までの期間の中央値は9日(5~18)であり,ほとんどの症例が1サイクル目に発生した.

(結論)Enfortumab vedotinは有効な治療法である.しかし,皮膚障害を含む有害事象は注意が必要である.

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