日本泌尿器科學會雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
体外計測によるRIクリアランス法を用いた定量的腎機能検査法
菅野 理
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 77 巻 10 号 p. 1549-1558

詳細
抄録

2-compartement model による1回静注RIクリアランス法は, 血液以外にもRIの分布容積を考慮しているので理論的である. しかし頻回の採血が必要であり解析法も複雑であることからあまり普及していない. そこで著者は血液の計測の代わりにレノグラム検査時に左心室部からのRIの消失率を体外計測して, 2-compartment model に近似, これを非線形最小二乗法により解析して99mTc-DTPAからGFR 123I-OIHからERPFの測定を行なった. 採血は単位血漿のクリアランス値に換算するために1回行なった. この方法で求めたGFRとCcr, ERPFとCPAHとを比較したところ, それぞれy=1.08×+3.3 (r=0.92), y=0.77x+157.8 (r=0.90) と良い相関が認められた.
分腎機能はレノグラムの機能相におけるRIの相対的腎摂取率から求めた. この方法で求めた分腎のRI摂取率比と分腎のCcr比を比較したところ, y=0.96x-0.13 (r=0.99) と良い相関が認められた.
この方法は総腎および分腎のGFRあるいはERPFの測定ができ, 侵襲も少なく臨床上有用であった. また, 採尿を必要としないため特に水腎症, 萎縮腎, 尿管S状結腸吻合術後状態などの採尿ができない症例における定量的腎機能検査法として有用であった.

著者関連情報
© 社団法人 日本泌尿器科学会
次の記事
feedback
Top