日本泌尿器科學會雑誌
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Print ISSN : 0021-5287
ヒト泌尿生殖器系悪性腫瘍の異種移植に関する研究
第VIII報: ヌードマウス可移植性ヒト Wilms 腫瘍に対する化学療法
山田 晋介
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1987 年 78 巻 7 号 p. 1232-1239

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抄録

ヌードマウス可移植性ヒト Wilms 腫瘍を用いて制癌剤による治療効果について検討した. 腫瘍片をヌードマウス皮下に移植し, 移植した腫瘍が推定重量100~300mgに達した時点より4日に1回, 計3回薬剤を単独投与した. 実験に使用した薬剤は Actinomycin D (ACTD), Vincristine (VCR), Cyclophosphamide (CPA), Cisplatin (CDDP), Carboplatin (CBDCA) で総投与量がマウスのLD50, 1/2LD50, 1/4LD50, 1/8LD50になるように3分割して投与した. 治療効果の判定は腫瘍増殖抑制状態および組織学的所見により行った. 有意な腫瘍増殖抑制効果はすべての薬剤においてLD50, 1/2LD50投与群でみられ, ACTD, VCR, CPAでは1/4LD50投与群でも効果がみられた. 組織学的効果はACTD, VCR, CPA, CDDPにおいてLD50投与群でみられ, CPAでは1/2LD50投与群でも効果がみられた. 以上より組織学的効果は必ずしも腫瘍増殖抑制効果と一致しなかった.

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