日本泌尿器科學會雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
表在性膀胱腫瘍に対するBCG膀胱内注入療法の検討
乳頭状腫瘍に対する腫瘍縮小および再発予防効果
萩原 正通大東 貴志中薗 昌明朝倉 博孝塚本 拓司飯ケ谷 知彦山本 正宍戸 清一郎林 暁山本 秀伸
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 79 巻 3 号 p. 521-526

詳細
抄録

表在性乳頭状膀胱腫瘍31例を対象にBCG膀胱内注入療法の腫瘍縮小および再発予防効果を検討した. Tokyo strain BCG 80mgを週1回または3回, 合計12回膀胱内に注入する導入療法により, 17例 (55%) で著効, 7例 (23%) で有効が得られた. 著効例はそのまま, 有効および不変例は残存腫瘍を経尿道的に切除後維持療法を行った. 維持療法は前記注入を2週毎6回, さらに1カ月毎21カ月にわたり施行することを原則とした. 4例が3, 4, 6および18カ月で再発したが, 他の27例では3~32カ月 (平均22カ月) の経過観察で再発がなく, 1年再発率は9.6%, 2年再発率は14.5%であった. 再発とPPD皮内反応との関係をみると, 治療前から陽性であった17例中2例, 治療にもかかわらず陰性の状態が持続した2例中1例, 治療により一時的に陽転したものその後陰性化した2例中1例に再発がみられたが, 治療により陽転した状態が持続している10例にはいまだ再発をみない. 導入療法中の副作用としては, 膀胱炎が27例 (87%), 発熱が5例 (16%) にみられ, 維持療法中には膀胱炎が31例 (100%), 発熱が5例 (16%), 前立腺炎が1例 (3.2%), 副睾丸炎が1例 (3.2%), 肝障害が1例 (3.2%) にみられた. 以上の結果から, BCG膀胱内注入療法は, 表在性乳頭状膀胱腫瘍に対する腫瘍縮小, 再発予防を目的とした治療法として有用と思われた.

著者関連情報
© 社団法人 日本泌尿器科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top