日本泌尿器科學會雑誌
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Phasedarray 電子セクタープローベを用いた移植腎動脈血流速および血流量測定の試み
有馬 正明細川 尚三荻野 敏弘藤末 洋寺川 知良島田 憲次井原 英有生駒 文彦
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1988 年 79 巻 3 号 p. 534-538

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抄録

機能の安定している腎移植患者20人に対し, フェイズドアレイ電子セクタープローベを用いて移植腎動脈血流の定量化を試みた. 20人中17人は血流測定が可能であったが, 3人では測定不能であった. その中1人は妊娠8カ月の女性であり, 残りの2名は移植腎機能の低下した小児例であった. 超音波ビームと血管との入射角, 最高流速, 最低流速, 血管径はそれぞれ平均で59.8°, 71.7cm/sec, 23.1cm/sec, 2.5mmであった.
血流量は, V=π×(φ/12)×FVI/T×60の公式で求めた.
尚, φは血管径, FVIは一心拍間の血流パターンの面積, Tは一心拍間の時間を表す. 血流量は18ml/minから150ml/minの範囲にあった.
本装置は, 1) 実時間での超音波断層像下にドプラ信号が採取できる. 2) ドプラ信号の入射角が自由に選択できる. 3) ドプラ信号を画像上の自由な位置から採取できる特徴を有している.
血流量に影響を与える要因としては, 入射角および血管径が最も重要と考えられた.

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