1992 年 83 巻 10 号 p. 1655-1661
陰茎海綿体内にプロスタグランディンE1を直接投与すると勃起が発現し, この薬剤による勃起反応は検査, 治療の目的で広く臨床応用されている. また, 末梢循環不全の治療薬として使用されている経口のプロスタグランディンE1誘導体であるリマプロストは, 陰茎を含む末梢の血流を増加させ, 皮膚温度を上昇させる作用がある. 今回, 51例のインポテンス患者を対象にリマプロストの勃起機能に対する効果を double blind cross over 法で評価した.
リマプロストの投与により19.5%の有効率を得た. 全例を対象とした有効性には著しい差はなかったが, 心因性インポテンスの症例においては自覚症状の改善に有意な差が認められ, 有効な治療薬であると考えられた. 副作用は顔面紅潮や消化管の機能亢進による腹部膨満感が見られた.