日本泌尿器科学会雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
ISSN-L : 0021-5287
Stage I精巣腫瘍に対する Surveillance policy の検討
米瀬 淳二河合 恒雄山内 民男上田 朋宏川上 理石橋 啓一郎
著者情報
キーワード: 精巣腫瘍
ジャーナル フリー

1993 年 84 巻 10 号 p. 1804-1810

詳細
抄録

癌研究会附属病院泌尿器科において1985年4月より1991年10月までの間に31例の stage Iと診断された精巣腫瘍に対し, 高位精巣摘除術後に surveillance policy に則り経過を観察した. 組織型はセミノーマ22例, 非セミノーマ9例であった. 再発は7例 (22.5%) にみられ再発までの期間は2.5~9.3ヵ月であった. セミノーマについては22例中5例 (22.7%) が再発し非セミノーマでは9例中2例 (22.2%) が再発した. 再発例には全例シスプラチンを含む化学療法を中心とした治療を行い治療完了後5~48ヵ月の現在癌なし生存中である. 今回正常と異常の境界をさぐる意味で経過観察とした画像上軽度の異常所見をもつ症例のうちセミノーマで3例中2例, 非セミノーマで2例中1例に再発を認めた. 今後このような画像所見をもつ症例に対しては予防治療を考慮する必要があろう. しかしその他の臨床病期Iの精巣腫瘍に対しては慎重な病期診断と確実な経過観察を前提として surveillance policy は適応可能と考えた.

著者関連情報
© 社団法人 日本泌尿器科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top