日本泌尿器科学会雑誌
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HCG (human chorionic gonadotropin) によるラット精巣内 Renin の調節
安元 章浩
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キーワード: ラット精巣 Renin mRNA
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1993 年 84 巻 8 号 p. 1489-1497

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抄録

HCG (human chorionic gonadotropin) の精巣組織 Renin 活性, Renin mRNAお よび血中 Renin 活性 (PRC: plasma renin concentration) に及ぼす影響について45匹のラットを用いて3種の実験を行った. 実験1 (25匹) はHCG 150IU単回投与による経時的変化, 実験2 (10匹) はHCG 150IU/日3週間連日投与による影響を, 実験3 (10匹) はHCGの腎臓 Renin への影響を検討するものである. PRCおよび精巣組織 Renin 活性は Angiotensin I を用いたRIA法にて測定した. なお精巣組織 Renin 活性測定における特異性は抗 Renin 抗体にて確認した. 精巣 Renin mRNA は RNAase protection assay により測定した. 結果, 精巣 Renin mRNA はHCG投与後増加し8時間で最大となった. この時精巣組織 Renin 活性は著増し3日目に最大値を示した. また3週間の連日投与では精巣 Renin 活性は増加したが, Renin mRNA の変動はみられなかった. また非腎摘除ラットではHCGによる血中 Renin 活性の増加はなく, 低値を示し, 腎臓 Renin mRNA も全く変動しなかった. 以上より精巣組織においても Renin Angiotensin 系が存在し, これらはHCGによって影響を受けることが判明した.

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