日本泌尿器科学会雑誌
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マウス膀胱癌 (MBT-2) 皮下移植腫瘍に対する高エネルギー水中衝撃波と抗癌剤併用療法
鈴木 謙一折笠 精一星 宣次吉川 和行斉藤 誠一大山 力佐藤 信川村 貞文
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1994 年 85 巻 10 号 p. 1464-1473

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抄録

マウス膀胱癌 (MBT-2) を皮下に移植し, 高エネルギー水中衝撃波 (HESW) と抗癌剤を併用して治療効果を検討した. HESWの発生源に piezoceramics, 焦点部最大圧力100MPaで1,000発照射した. 治療は1群を除き1回のみ行った. 抗癌剤との併用は, pirarubicin (THP) (5mg/kg) あるいは carboplatin (CBDCA) (40mg/kg) をそれぞれ腹腔内投与15分後にHESWを単独群と同じ条件で照射した.
照射直後には腫瘍内に著しい出血が出現し, 1日後には癌細胞の崩壊がみられはじめ, 3日後には境界明瞭な広範囲の壊死が生じた. 治療時腫瘍体積<10mm3では, 14日後の腫瘍相対増殖率はHESWを照射した群が無治療群に比べて平均値で約1/2の値を示したが, 統計学的有意差を認めなかった. 治療時腫瘍体積10~35mm3の14日後の腫瘍相対増殖率は, CBDCAとHESW併用を1回施行群と1週後に2回施行した群で有意な腫瘍増殖抑制効果が認められた. HESW単独群, THP単独群, CBDCA単独群, THPとHESW併用群では有意な増殖抑制はみられなかった. 累積生存率は, CBDCAとHESW1回併用群と2回併用群においてのみ有意に高く認められた. 治療後死亡したマウスの転移は肺のみにみられ, 出現頻度はHESWを用いた群と用いない群で差はみられなかった.

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