日本泌尿器科学会雑誌
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骨吸収マーカーとしての尿中ピリジリノリンおよびデオキシピリジノリンの測定
前立腺癌骨転移例における有用性
竹内 信一吉田 謙一郎
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1994 年 85 巻 10 号 p. 1521-1527

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抄録

最近, 骨吸収のマーカーとして同定されたコラーゲン架橋因子である尿中Pyr, D-Pyrが前立腺癌において骨転移の指標になり得るか否かを検討する目的で, 従来の骨代謝のマーカーである血中BGP, ALPと前立腺癌骨転移 (+) 群, 骨転移 (-) 群, および同年齢の前立腺肥大症との間で比較検討した. 尿中Pyr, D-Pyrの測定は高速液体クロマトグラフィーで行い, 尿中クレアチニン量で補正した. 対象は23例の前立腺癌症例; 16例: 骨転移 (+) 群, 7例: 骨転移 (-) 群と23例の前立腺肥大症であった.
前立腺癌骨転移 (+)群 の尿中Pyr, D-Pyrの平均値は65.02±38.16pmol/μmol of creatinine, 8.87±7.01pmol/μmol of creatinini であり, 骨転移 (-) 群: 27.43±10.29pmol/μmol of creatinine, 4.42±1.88pmol/μmol of creatininc, 前立腺肥大症: 25.58±7.54pmol/μmol of creatinine, 3.52±1.07pmol/μmol of creatinine, のそれより有意に高値を示した. これら3群間において尿中Pyr, D-Pyrともに統計学的に有意差を認めた (Pyr: P=0.0001, D-Pyr: P=0.001). 前立腺癌骨転移 (+) 群の血中ALPの平均値は266.50±147.46IU/Lであり, 骨転移 (-) 群: 135.14±20.32IU/L, 前立腺肥大症: 144.52±30.95IU/L, のそれより有意に高値を示した (p=0.0001). 前立腺癌骨転移 (+) 群においては,尿中Pyr, D-Pyrどちらも血中ALPと有意な相関を認めた. これらに比して, 血中BGPは3群間において有意差を認めなかった. 以上の結果より, 尿中Pyr, D-Pyrの測定は前立腺癌において骨への転移の拡がりを知る有用な指標になり得ると思われる.

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