日本泌尿器科学会雑誌
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N-butyl-N-(4-hydroxybutyl)-nitrosamine 誘発ラット膀胱癌における Bacillus Calmette-Guérin 膀胱内注入療法の発癌抑制作用の検討
柳沢 健鈴木 唯司工藤 達也呉 聖哲
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キーワード: BCG, BBN誘発膀胱癌, 発癌
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1994 年 85 巻 6 号 p. 945-952

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抄録

N-butyl-N-(4-hydroxybutyl)-nitrosamine (BBN) 誘発ラット膀胱癌を用いて, Bacillus Calmette-Guérin (BCG) の発癌抑制作用を病理組織学的に検討した. イニシエーション抑制実験として, BBNを6週間投与したラットに, 投与中BCGまたは生理食塩水 (生食) を膀胱内に3回注入した (A群). またプロモーション抑制実験としてラットに10週間BBNを投与し, 投与開始7週目からBCGまたは生食の膀注を4回施行した (B群). 膀胱の摘出はA群では18週と36週に, B群では10週と18週に行った. BBN投与後の膀胱粘膜病変は, 単純性過形成, 乳頭状ないし結節状過形成, 乳頭腫および癌の4段階に分類して, 発生頻度及び10cm基底膜あたりの発生個数を検討した. イニシエーション抑制実験で, BCG群は生食群と比較して腫瘍の発生は抑制されず, BCGのイニシエーション抑制作用は認められなかった. またプロモーション抑制実験でも, BCG群に腫瘍発生の抑制はみられず, むしろ両実験とも一部発癌促進効果が認められた. 以上BCGには発癌抑制作用は認められず, BCGの再発予防効果は, 強力な抗腫瘍作用により残存腫瘍が消失した結果であると推測した.

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