日本泌尿器科学会雑誌
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小児尿路感染症および膀胱尿管逆流における発生要因としての包茎の意義
松岡 弘文梶原 一郎田原 春夫大島 一寛
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1994 年 85 巻 6 号 p. 953-957

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抄録

真性包茎に合併する尿路感染症ならびに膀胱尿管逆流において本症がいかなる病的意義を持つか検討を行った.
包茎の男児は排尿障害の合併が認められない場合でも尿路感染症をおこす頻度が高く, この観点からも包茎は手術適応が妥当であると考えられた. また, 排尿障害を伴う包茎では排尿障害のない群と比べて尿路感染症の頻度が有意に増加し, その大半が腎盂腎炎であることから上部尿路への閉塞性病変としての関与が示唆された.
しかしながら, 本症に合併する膀胱尿管逆流症例は先天性尿管膀胱接合部異常に起因するものが大部分で, 包茎による排尿障害は副次的な増悪因子でしかないと判断されたものが多かった. 従って, 腎盂腎炎合併例では包茎治療と同時に尿路精査の必要があると考えられた. なお, 亀頭包皮の瘢痕癒着の強い後天性包茎の1例では閉塞による続発性逆流と判定された.

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