日本泌尿器科学会雑誌
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抗癌化学療法時の顆粒球機能について a preliminary report
G-CSFの影響を中心に
岡田 弘宮崎 治郎守殿 貞夫
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1994 年 85 巻 6 号 p. 958-963

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抄録

抗癌化学療法をうけている患者の顆粒球機能について, 5名の膀胱癌患者を対象に検討した. 1コース目はG-CSFを使用せずに, 2コース目はrhG-CSFを末梢血顆粒球数が1,000/mm3となった日より投与開始し10,000/mm3となった日までつづけた. 貪食能は1コース目は nadir にかけて漸減し, その後化学療法終了時には化学療法前値に近づいたが2コース目開始時にも1コース目開始前値には回復しなかった. 2コース目はより急激に貪食能は低下したが, rhG-CSF使用により回復し1コース目で nadir となった日に相当する日の貪食能は, 1コース目より有意に高値となった. 活性酸素産生能は1コース目は nadir にかけて漸減し, その後2コース目開始まで回復を続けたが前値までは回復しなかった. 2コース目も同様に低下したがrhG-CSF投与により急激に回復し, 1コース目で nadir となった日に相当する日の活性酸素産生能はrhG-CSF投与により1コース目のようには低下しなかった.
以上の結果から, M-VACを施行中の患者に末梢血顆粒球数が1,000/mm3未満となった日からrhG-CSFを投与開始すれば顆粒球の数とその機能を維持できる可能性が示唆された.
しかし, rhG-CSFの最適な使用法を決定するためには多数症例による controlled study が必要であると考えられた.

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