日本泌尿器科学会雑誌
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両側同時発生多房性精巣上体嚢胞の1例
牛田 博林田 英資金 哲將朴 勺岡田 裕作
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1999 年 90 巻 7 号 p. 692-695

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抄録

56歳独身男性. 4~5年前より両側陰嚢内容の腫脹があり, 1年前より両側陰嚢内容の腫脹の増大傾向と疼痛を認めたため当院受診. 術前超音波検査にて両側多房性陰嚢水腫と診断し, 同根治術を施行したが, 精巣鞘膜には漿液の貯留は認められず, 精巣上体に大小不同の多房性嚢胞が認められた. 術中所見から両側多房性精巣上体嚢胞と考えられ, 両側精巣上体嚢胞摘出術を施行した. 摘出病変の大きさは, 右直径12×6cm, 左直径8×5.5cmであった.
精巣上体嚢胞は精巣上体管や精巣輸出管が閉塞することにより精液が貯留したもので, 好発部位は精巣上体頭部, 通常は一側性で1cm以下が大部分で単房性ときに多房性を呈するといわれている. 自験例では, 明らかな原因もなく両側同時発生し, 1cm以上あり, しかも精巣上体全体が嚢胞化している非常にまれな症例であると考えられた.

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