日本泌尿器科学会雑誌
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前立腺全摘除術後の尿失禁継続期間に関連する諸因子の検討
菅谷 公男小田 正美西島 さおり島袋 修一安次嶺 聡砂邊 毅島袋 浩一呉屋 真人嘉川 春生米納 浩幸城間 和郎宮里 朝矩小山 雄三秦野 直小川 由英大湾 知子
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2002 年 93 巻 3 号 p. 444-449

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抄録

(目的) 前立腺全摘除術後の腹圧性尿失禁の継続期間に関連する因子を検討した.
(対象と方法) 1988年からの12年間に前立腺癌に対して当科で恥骨後式前立腺全摘除術を受けた45例中, 経過観察できた38例を対象とした. 対象の年齢, 身長, 体重, 肥満指数 (BMI), 術前前立腺特異抗原値, 術前病期, 神経血管束温存の有無, 手術時間, 出血量, 摘出前立腺重量, 膀胱または尿道断端の癌陽性の有無, 術後病期, 術後の放射線療法の有無, 抗アンドロゲン療法の有無, 尿失禁継続期間や経過観察期間などを調べた.
(結果) 尿失禁継続期間の中央値は5.5ヵ月であり, 術後経過観察期間の中央値は12ヵ月であった. 尿失禁継続期間を5.5ヵ月以上に延長する因子として術後の抗アンドロゲン療法の施行とBMI高値 (25.0kg/m2以上) があった.
(考察) この結果は, 前立腺全摘除術後の長引く腹圧性尿失禁が女性の真性腹圧性尿失禁と同様の機序で起こる可能性を示しており, 術後の尿失禁対策として体重の適正化と骨盤底筋体操の励行が大切と考えられた.

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