日本泌尿器科学会雑誌
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腎癌におけるT分類カットオフ値の再評価
小原 崇松浦 忍井上 高光熊澤 光明阿部 明彦堀川 洋平冨樫 寿文湯浅 健土谷 順彦佐藤 滋佐藤 一成羽渕 友則
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キーワード: 腎癌, T分類, カットオフ値
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2007 年 98 巻 5 号 p. 671-676

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抄録

(目的) 1997年に腎癌T1/T2カットオフ値が7cmになり, 2002年にはT1が4cmでT1aとT1bに細分化された. カットオフ値と予後との関係について当科症例を用いて再評価した.
(対象と方法) 1985年1月から2004年1月までに開腹根治的腎摘除術を施行した200名の症例に関して評価した. T1/T2カットオフ値評価のため, 3cm~9cmまで1cm区切りにカットオフ値を設定し生存率を算出した. 次にT1患者におけるT1a/T1bカットオフ値を評価のため, 3cm~6cmまで1cm区切りにカットオフ値を設定し生存率を算出した. 最後に腫瘍径7cm以上のT2~3a患者を細分化するカットオフ値が存在するかを確認するため9cm~14cmまで1cm区切りにカットオフ値を設定し生存率を算出した.
(結果) T1/T2カットオフ値に関しては, 7cmまたは8cmが生存率に最も有意な差を認めた. T1a/T1bカットオフ値では全ての値で有意差は認めなかったが, 4cmまたは5cmで最も生存曲線に差を認めた. 腫瘍径7cm以上の腫瘍カットオフ値の検討では, 13cmでのみ有意差を認めた.
(結論) 転移なし腎癌における現在のT分類4cmおよび7cmカットオフ値は妥当であると考えられた. また腫瘍径7cm以上の転移なし腎癌におけるカットオフ値は13cmがもっとも有効であった.

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