日本泌尿器科学会雑誌
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肉腫様腎細胞癌を伴った von Hippel-Lindau 病の一例
皆川 倫範西澤 秀治上垣内 崇行中山 剛岡根谷 利一
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2007 年 98 巻 5 号 p. 723-726

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抄録

68歳女性. 小脳血管芽腫摘除術の既往がある. 全身倦怠感で受診し, CTで同時性両側腎腫瘍と肺・肝転移を認めた. 家族歴や遺伝子異常は明らかでなかったが, 臨床的に von Hippel-Lindau 病 (VHL) と診断し, 右主病変に対して根治的右腎摘除術, 左の小病変に動脈塞栓術を施行し, 術後インターフェロン療法を行った. 左腎腫瘍は縮小し, 肺転移巣は消失した. 手術の4年後に左腎腫瘍が増大し, 左腎部分切除術を施行したが, 1年後に腫瘍死した. 左右腎共に淡明細胞癌と肉腫様癌の混合型腎細胞癌であった. VHL腎癌のほとんどは淡明細胞癌で, 比較的に予後良好とされている. しかし, VHLの肉腫様腎癌の報告やその予後に関する報告は少なく, 本症例は本邦で1例目である.

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