2008 年 29 巻 3 号 p. 95-98
累進屈折力眼鏡(累進眼鏡)は,老視矯正にとって第一選択にされるべき眼鏡であるにもかかわらず,日本ではまだまだ拒否感をもつ人が多い。その理由は,装用者,処方者,眼鏡作製者のいずれにも問題があるからである。装用者の理解不足,処方者および眼鏡作製者の技術不足である。せっかく累進眼鏡を装用していても,遠用度数の検眼が正確でないために,近用度数が不適切になってしまう例が非常に多い。また,フレーム調整の不良も信じ難いほど多い。眼鏡作製の基本も知らない人が眼鏡にかかわっていることは大きな問題で,累進眼鏡が正しく評価されるためには,日本の眼鏡制度の改革が必要であろう。