視覚の科学
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総説
電子ホログラフィ技術の現状と展望
坂本 雄児
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2008 年 29 巻 4 号 p. 120-125

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抄録

電子ホログラフィは,通信技術を用いて三次元映像が表示可能な技術で,人間の視覚生理(視差,輻湊,焦点調節)を満足する理想の三次元ディスプレイといわれてきた。しかし,製作には高度な技術が必要で高価になりすぎるため,現在まで商業的に利用可能なシステムは実現していない。近年,微細加工技術やコンピュータ関連技術の発展により,電子ホログラフィの研究が促進されてきている。とくに1990年にマサチューセッツ工科大学のBenton教授のグループがカラー三次元動画の表示に成功したことにより,電子ホログラフィの可能性が認知され,これ以降,刺激を受けた研究者が多くのシステムを試作してきた。とくに昨年,商用化の可能性をもった試作システムが開発された。改善すべき点があるが,現状の技術内で量産化,低価格化が可能であり,非常に有望な手法である。本稿では,電子ホログラフィの概略と今後の課題,展望について解説する。

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© 2008 日本眼光学学会
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