目的:広角測定可能な超音波生体顕微鏡(ultrasound biomicroscopy: UBM)(KINSCAN)を使用し,従来直接測定が不可能であった毛様溝間距離(sulcus to sulcus: STS)測定の可否,STSと他の測定値との相関の有無につき検討した。
方法:白内障手術前患者9名10眼に対し,UBMにてSTSを測定した。STSと水平角膜径,隅角間距離,前房深度,角膜曲率半径,眼軸長との相関関係を単回帰,重回帰解析を用いて検討した。
結果:10眼すべてでSTS測定が可能であった。単回帰解析にてSTSと水平角膜径,隅角間距離とは相関を認めず,STSと前房深度,角膜曲率半径,眼軸長とは弱い相関を認めた。重回帰解析ではいずれの値とも相関を認めなかった。
結論:新しいUBMを用いてSTSが直接測定可能となった。STSは他の測定値からの予測は難しく,直接測定が望ましいと考えられた。