2010 年 31 巻 3 号 p. 89-93
大気が揺らぐと星の光は瞬く。このため,望遠鏡の「視力」はある程度以上には改善できないと考えられてきた。この宿命を克服する補償光学系を開発し,ハワイ島マウナケア山頂に建設した直径8mのすばる望遠鏡に搭載した。補償光学系を利用しやすくするために,パワーレーザーを用いて上空90kmの高層大気中で光る人工星を発生させ,大気の揺らぎを測る光源にするシステムも開発した。これらのハイテク技術の原理に加えて,すばる望遠鏡で見つけた129億光年彼方の最遠銀河の発見の様子や,すばる望遠鏡に続く直径30mの次世代超大型望遠鏡計画について,画像を中心に視覚的に紹介する。