視覚の科学
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原著
年代別分光視感効率に基づくWCAG 2.0輝度コントラスト比達成基準の評価
藤田 徹也中嶋 芳雄高松 衛
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2011 年 32 巻 3 号 p. 67-74

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抄録

Web Content Accessibility Guidelines(WCAG)2.0輝度コントラスト比の達成基準を評価するため,World Wide Web(Web)セーフカラーの分光放射輝度を測定し,日本工業規格(JIS)の年代別分光視感効率より年代別輝度を計算した。理論値との輝度比は,加齢により緑・青系統のhue, saturation, value(HSV)色相領域では減少することが明らかとなり,とくに50歳代以降において青(HSV色相240°)近傍における低下が顕著であった。また黒に対する年代別輝度コントラスト比を求めた結果,輝度コントラスト比増減率の分布は加齢により分散傾向を示し,70歳代では140色中47色が10%以上の減少率となった。WCAG 2.0は加齢による感度低下を考慮した場合でも,適合条件が変化する色が少ないことから,適切な輝度コントラスト比を確保している。ただし,青近傍の領域の色を使用する場合は,輝度コントラストの減少に注意が必要である。また高齢者および低視力者に対して情報提示を行う場合は,黒に対してHSV輝度204以上の色の使用が適切であることが明らかとなった。

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© 2011 日本眼光学学会
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