視覚の科学
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原著
コントラスト感度に影響を及ぼす球面度数の検討
長谷川 奈美稗田 牧中井 義典木下 茂
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2015 年 36 巻 2 号 p. 20-24

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抄録

我々は,正常眼におけるコントラスト感度曲線(CSF)に影響のでない球面負荷度数(低次収差の量)を調査した。対象は,屈折異常以外の眼疾患のない健常者6 名の右眼6 眼(平均年齢28.3±5.7 歳)とした。方法はサイプレジン1%を点眼し,1 時間後に高次収差と完全矯正下でCSF を測定した。更に,完全矯正下に3,4,5,6 mm の人工瞳孔(AH)を装用させCSF 測定をした。最も感度が高かったAH を装用し,完全矯正下に-0.25~-1.5 D を負荷してCSF も測定した。結果は,全空間周波数においてAH 3 mm または4 mm のCSF が高かった。また球面度数を負荷しないCSFと比較してCSF が低下した球面負荷度数は,空間周波数3 cpd では-1.5 D でも有意に低下せず,6 cpd では-1.25 D,12 cpd と18 cpd では-0.75 D であった(p<0.05)。これらの結果より,球面度数の影響は空間周波数ごとに差があることが示唆された。

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© 2015 日本眼光学学会
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