2015 年 36 巻 2 号 p. 25-30
目的:Photorefractive keratectomy(PRK)術後15 年以上の長期経過観察が可能であった症例に対し,角膜形状解析装置により角膜前面屈折力の変化について検討し,PRK の術後角膜形状の安定性について評価した。 方法:対象は,PRK を実施し15 年以上経過観察が可能であった7 例12 眼として,角膜形状解析を行った。測定は角膜形状解析装置TMS にて実施し,検討項目はsimulated keratometry(SimK),differential map(DM),surface regularityindex(SRI),surface asymmetry index(SAI),corneal eccentricity index(CEI)の5 項目とした。各項目を,術前,手術施行から0.5,1,5,10,15 年目時点で測定している角膜形状データから各検討項目を抽出し評価した。 結果:SimK では術後1 年と比べ,その後15 年までsteep 傾向への緩やかだが有意な変化がみられた(p<0.05)。DM では,術後1 年以内の変化量と5 年目以降の変化量を比較,5 年目以降の変化は有意に少なくなっていた(p<0.05)。SRI・SAI では術後1 年まで変動し不安定であるが,術後1 年以降は術後15 年まで安定を示した。CEI では手術により角膜形状はoblate を示したが,それ以降術後15 年まで,わずかずつプラス方向への変化がみられるが有意差はなかった。 結論:術後早期では変動があるものの1 年以降は安定的であり,5 年目以降の変化は非常に軽微な変化であった。このわずかな変化では角膜中央部はsteep,角膜全体はprolate 傾向の変化を示した。不正乱視の15 年間の変化は正常範囲であり,PRK 術後においても安定的であった。