日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
原著
がん終末期患者の褥瘡に対する意味づけとケアへの期待
祖父江 正代前川 厚子竹井 留美
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2011 年 15 巻 1 号 p. 46-54

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抄録

 【目的】がん終末期患者の褥瘡発生および軽快あるいは治癒に対する意味づけとケアへの期待を明らかにする。 【対象】褥瘡発生もしくは他院や在宅から褥瘡を保有しているがん終末期患者で、褥瘡に軽快を認め面接可能な者。 【方法】対象者の背景、創の状況、褥瘡の発生および軽快あるいは治癒したときの思い、褥瘡ケアに対する思いに関する半構造化面接を行い質的分析で調査した。倫理的配慮として、対象者に個人が特定されないよう配慮することなどを説明し、研究の同意を得たうえで患者の病状も考慮して実施した。【結果】①対象者は12名で男性5名、女性7名であった。平均年齢は66.0(SD11.3、幅45~95)歳であった。②NPUAP分類による褥瘡深達度はstageⅠが1例、stageⅡが5例、stageⅢが6例であった。褥瘡転帰は治癒が8例で、治療期間は平均14.6(SD7.4、幅7~28)日であった。③褥瘡に対する意味づけとケアへの思い:褥瘡発生によって“死”を、褥瘡の軽快や治癒に対して“生”を表す意味づけをしていた。ケアに対して【傷やがんによる苦痛からの解放への願い】や【褥瘡ケアと症状緩和との間で揺れるジレンマ】を抱いていた。【結論】がん終末期患者は褥瘡発生によって“死”や“生”を意識していた。また、苦痛があることを理解したうえでの褥瘡ケアを望んでいた。

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© 2011 一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会
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