日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
原著
自動圧切り替え型車いすクッションにおける底づき回避機能の評価
福田 守良田端 恵子西澤 知江臺 美佐子仲上 豪二朗野口 博史中谷 壽男大桑 麻由美真田 弘美須釜 淳子
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2015 年 19 巻 4 号 p. 365-377

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抄録

 本研究の目的は底づき回避機能が褥瘡部位の接触圧、底づき、積算値(接触圧×底づき時間)に影響するかどうか検証することである。対象は65歳以上、坐骨結節部、尾骨部に褥瘡のある、もしくは、それらの部位に既往がある者で座位姿勢に問題のある者とした。クッションは自動圧切り替え型クッションを使用した。本研究は、クロスオーバーデザインである。介入群は、クッションの機能である底づき回避機能をONにし、対照群は底づき回避機能をOFFにした。結果、17名を分析対象者とし、接触圧、総底づき時間割合、積算値を算出した。介入群の接触圧(座位A)は、クッションの適正体圧時と非底づき時に有意差はなかったが(p =.16)、対照群では適正体圧時より非底づき時のほうが有意に高かった(p =.00)(座位A:バックレストに背中が触れている状態)。介入群における総底づき時間割合(座位A、B、D)は、対照群よりも有意に低かった(座位B:バックレストから背中が離れ、荷重が垂直にかかる状態、座位C:手足の動作により、荷重の位置が移動する状態D:座位A、B、Cの座位後の状態)(p =.00)。介入群における積算値は、対照群よりも有意に低かった(p =.03)。以上より、圧切り替え型クッションにおける底づき回避機能は褥瘡部位または既往部位における接触圧、底づき、積算値に対して静止型より有効性を示した。

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© 2015 一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会
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