日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
原著
直腸癌患者の低位前方切除術に伴う一時的ストーマ保有に対する思いと対応の仕方
吉永 美佳武 亜希子西薗 見咲竹原 沙織松留 由佳前原 佑美
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2015 年 19 巻 4 号 p. 378-385

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抄録

 本研究の目的は、直腸癌患者の低位前方切除術に伴う一時的ストーマ保有に対する思いと対応の仕方について明らかにすることである。データ収集は、外来通院中の患者5名に半構成的面接を行い、質的帰納的に分析した。結果、見出された2つの時期において12カテゴリが確認された。初めの【混乱したなかの一時的ストーマの引き受け期】の患者は、《癌発病への衝撃と不安の押し寄せ》を体験したあと、癌手術のために引き受けざるをえない期間限定のこととして《抵抗のある一時的ストーマ造設術の引き受け》を行っていた。つぎの【ストーマ閉鎖への待望期】になると、手術後の《一時的ストーマを保有する現実への動揺》を体験しながら、ストーマケアの練習に取り組んでいた。退院後は《周囲のサポート》と《元の自分に戻りたい望み》を支えにして、《ストーマ保有の苦しみへの直面化》に耐えていた。そして《ストーマのある生活の工夫》にも取り組めるようになっていた。一方、《ストーマ保有の苦しみへの直面化》を体験しても、諦める気持ちを維持してすぐに《ストーマのある生活の工夫》に取り組む者もいた。以上から看護師は、気持ちが不安定な者には《元の自分に戻りたい望み》を支えにストーマ保有の苦しみを傾聴して周囲のサポートが得られるように調整し、深く悩まない者には《ストーマのある生活の工夫》への努力を承認し、自信が高まるように支援することが重要である。

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© 2015 一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会
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