日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
原著
排尿自立指導料導入が下部尿路症状および排尿動作に及ぼす有効性の検証
加瀬 昌子田中 秀子吉田 美香子飯坂 真司正源寺 美穂真田 弘美
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2022 年 25 巻 4 号 p. 677-688

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抄録

 背景:本研究では、排尿自立指導料導入の下部尿路症状および排尿動作の改善に対する効果を検証した。
 方法:研究デザインは多施設前向きコホート研究(尿道カテーテル留置時:T1、尿道カテーテル抜去時:T2、退院時/抜去から1ヵ月後:T3)であり、排尿自立指導を算定した患者(算定群)と、非算定施設での排尿ケアを受けた患者(非算定群)を対象とした。下部尿路症状・排尿動作の評価に、日本創傷・オストミー・失禁管理学会作成の評価指標(下部尿路機能・排尿自立度)を用いた。
 結果:算定群(n=86)は非算定群(n=151)にくらべて、有意に平均年齢と寝たきりの者の割合が高く、尿道カテーテル留置期間が長かった(p<0.01)。単変量解析では、直腸切除術・低位前方切除術の患者、そのほかの治療の患者のいずれにおいても、大腸肛門・婦人科疾患患者では、非算定群にくらべて算定群では、下部尿路機能の合計点(p<0.001)が、T2からT3に有意に減少した。二項ロジスティック回帰分析の結果、排尿自立指導は、大腸肛門・婦人科疾患患者においてはT2からT3の下部尿路機能の改善に関連する傾向が認められた(オッズ比:3.54、95%信頼区間:0.88-16.96)が、整形外科・脳血管疾患患者においては下部尿路機能、排尿動作のいずれの改善にも関連しなかった。
 結論:大腸肛門・婦人科疾患患者では、排尿自立指導により下部尿路症状と排尿動作が非算定群にくらべて改善する可能性が示唆された。

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