2017 年 2 巻 2 号 p. 75-82
近年,高い感度と定量精度でタンパク質を絶対定量する方法として,質量分析によるターゲットプロテオミクスが発展してきた.しかしこの方法は,内部標準となる濃度決定した安定同位体標識ペプチドを必要とし,それが得難いことが一つのボトルネックとなっていた.筆者らは無細胞タンパク質合成系のPURE systemを用い,安定同位体標識ペプチドを,簡便かつ多種少量で合成し,絶対定量に利用する方法(MS-based Quantification By isotope-labeled Cell-free products,MS-QBiC)を開発した.MS-QBiCにより多数の内部標準を得られることで,多数のタンパク質の解析が可能になることはもちろん,1タンパク質あたり複数のターゲット配列候補から高感度な配列を選択できる.さらに超高感度分析のための2次元SRM解析における解析ペプチド数の増大に対応が可能である.