日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
鶏胚の血清総蛋白質量とグルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ (GOT) 活性
岩崎 説雄渡辺 誠喜
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1979 年 16 巻 3 号 p. 105-112

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抄録

鶏胚の蛋白質および糖の代謝を明確にする目的で, 血清総蛋白質量と肝臓グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ (GOT) 活性の変動, ならびにその品種間差異を追求するとともに, 肝臓GOTのアイソザイムの存在を明らかにし, その細胞内局在性について検討した。
供試鶏は白色レグホーン種 (WL), ロードアイランドレッド種 (RIR) と, これらの正逆交雑種および比内鶏(H) で, ふ卵8日令よりふ化後1日令までの胚を用いた。血清総蛋白質量はLOWRY法に, GOT活性はREITMAN-FRANKEL法にそれぞれ準じて測定した。
1. 体重はふ卵に伴い漸増し, H胚の初期発育は他品種に比し優れていた。肝臓重はWLが小さく, その体重に対する割合はHが高かった。交雑種は体重, 肝臓重とも母鶏品種に近似していた。
2. 血清総蛋白質量は発生が進むにつれて漸増するが, ふ化直前に一時低下した。Hは他品種と異なり, 16日令で最高値に達した後低下し, ふ化時には供試鶏種のうち最低であった。
3. 各品種における肝臓GOT活性値の変動は大きく, 発生中期に最高値を示し, 血清総蛋白質量の変動曲線とはやや異なっていた。Hは最高値に達する日令が他品種よりやや遅いが, 発生後期には供試鶏種中最高値を示した。交雑種の活性値は両親品種より大であった。
4. 鶏胚肝臓のGOTはデンプンゲル電気泳動法により, 陽極側に3本, 陰極側に1本, 計4本のバンドが認められ, 細胞質上清分画GOTは陽極側に, ミトコンドリア分画は陰極側に泳動された。また肝臓GOTは, ミトゴンドリア分画よりも細胞質上清分画に多く存在することが明らかになった。

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