日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
ヒナのメチオニン過剰障害に及ぼすグリシンの緩和効果
上田 博史横田 浩臣田先 威和夫
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1979 年 16 巻 3 号 p. 113-120

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抄録

飼料中のメチオニン過剰がヒナのエネルギーおよび窒素の利用性を低下させることは既に報告した。メチオニン過剰による成長阻害はグリシンによって緩和されることが知られている。本実験では, グリシンによる緩和効果を飼料エネルギーおよび窒素の利用性の面から検討した。
供試ヒナには8日齢の白色レグホーン雄を用い, 2羽を1群とし, 各試験区に4群ずつを割りあてて12日間飼育した。対照飼料にはメチオニンとグリシンを適量補足したダイズ蛋白質を用い, 蛋白質含量が20%になるように調製した。これにさらに1.5%のメチオニンを添加したものをメチオニン過剰飼料とした。さらにこれら両飼料に1.5%, 3.0%および4.5%のグリシンを添加した飼料を調製し, 飼育試験終了後ヒナの屠体分析を行った。
対照飼料においては, 過剰のグリシンを添加しても障害はみられなかった。一方, メチオニンの過剰給与はヒナの増体重, 飼料摂取量および飼料効率を著しく減少させたが, これらはいずれもグリシンの添加で軽減され, 特に飼料効率ではメチオニン適量飼料との間に差が認められなかった。屠体成分はメチオニンの過剰給上与により脂肪が減少し, 水分が増加した。メチオニン適量および過剰飼料に高濃度のグリシンを添加すると, 脂肪含量の減少がみられた。しかし, 蛋白質含量は試験飼料によって影響を受けなかった。以上の結果より, メチオニン過剰飼料を摂取したヒナのエネルギー蓄積量は著しく低下したが, グリシン添加により低下の度合は減少した。飼料エネルギーの代謝率 (代謝エネルギー/総エネルギー) は飼料間で差がなかったが, 代謝エネルギーの利用性(エネルギー蓄積量/代謝エネルギー摂取量) はメチオニン過剰飼料で最も低く, これはグリシン添加により改善されたが, メチオニン適量飼料には及ばなかった。窒素の利用性 (窒素蓄積量/窒素摂取量, および窒素蓄積量/飼料摂取量) も過剰のメチオニン添加で有意に低下したが, グリシンの添加によりメチオニン適量区と同程度にまで改善された。またグリシンによる成長阻害の緩和は飼料摂取量に差がない場合でもみられることから, 飼料の利用性の改善によるところが大きいものと考えられる。

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