日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
鶏の移植片対宿主反応選抜系統の免疫遺伝学的分析
岡林 寿人岡田 育穂
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1982 年 19 巻 3 号 p. 147-152

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抄録
鶏のGVHR選抜系統 (H系, L系) の間で羊赤血球 (SRBC) に対する免疫応答を比較した。H系は, これまで調べられてきた山羊赤血球 (GRBC) やジニトロフェニール基 (DNP), 牛血清アルブミン (BSA) に対してと同様に, SRBCに対しても1次応答, 2次応答の全般にわたってL系よりも多くの抗体を産生した。免疫グロブリンの分析により, 系統間の差は主にIgGの産生量の差に依っていることがわかった。しかし, IgM力価およびIgM抗体産生細胞数では系統間に有意な差はみられなかった。
B座位遺伝子型と抗SRBC抗体価との間に特定の関連性を示す証拠は得られなかった。IgM抗体産生細胞数には有意ではないが, B9/B9>B9/B11>B11/B11の傾向がみられた。これらは他の抗原に対する免疫応答の場合と違っていたことから, 抗原特異的な遺伝子支配が示唆された。
SRBCに対するロゼット形成細胞の末梢リンパ球中に占める割合は, L系の方がH系より高く, その差は統計的にも有意であった。B座位遺伝子型間ではB9/B9>B9/B11>B11/B11の傾向がみられたが, その差は有意ではなかった。
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