抄録
育成期飼料自由摂取と定量給与毎に,各々7通りの飼育タイプを導き,卵価と成鶏飼料価格を変動させ,収益を計算し,各価格に対応した最も経済性の高い飼育タイプと最適飼育期間につき検討した。また,同時に選択された飼育タイプが最も有利となる卵価と飼料価格の範囲をも検討した。
価格は昭和48~52年の卵価と飼料価格を平均値も含め5通りの設定とした。その結果は次のとおりとなった。
1. 各卵価,飼料価格に対応した飼育タイプ
各価格と経済的に有利な飼育タイプは次のとおりである。
育成期自由摂取の場合は,経済的に有利な飼育タイプはTY2とTY6にしぼられる。この両飼育タイプの粗収益は価格No 03(卵価193.4円/kg,飼料価格46.45円/kg),04(卵価160.8円/kg,飼料価格59.15円/kg)の卵価が安い場合はTY6がTY2より優れ,価格No 01(卵価261.2円/kg,飼料価格70.0円/kg)02(卵価376.0円/kg,飼料価格82.20円/kg)及び05(卵価296.2円/kg,飼料価格82.2円/kg)の卵価が高い場合はTY2がTY6より優れていた。
育成期定量給与の場合は,経済的に有利な飼育タイプは,全価格条件ともTY4が優れていた。また,その他価格No 02の卵価,飼料価格が非常に高い条件下ではTY1が,価格No 04の卵安•飼料高の条件下ではTY7も有利な飼育タイプとして推奨された。
2. 最適飼育期間
最適アウト週齢に与える卵価,飼料価格の影響は小さく最適アウト週齢は各飼育タイプ固有のものと考えられる。
また,卵価が高くなればわずかに飼育期間は長くした方が有利になった。
3. 選択された飼育タイプが経済的に有利になる卵価,飼料価格
1) 育成期自由摂取
TY2が有利になる条件は,卵価が204.4円/kg,飼料価格40円/kg,卵価が230.5円/kg,飼料価格80円/kgを結ぶ直線でこの卵価より高くなる場合。
2) 育成期定量給与TY4が有利になる条件は,卵価が121.0円/kg,飼料価格40円/kgと卵価が188.8円/kg,飼料価格80円/kgを結ぶ直線と,卵価が417.5円/kg,飼料価格40円/kgと卵価が393.4円/kg,飼料価格80円/kgを結ぶ直線の範囲内である。