飼料中β-カロチンの卵黄中への移行性および卵黄色に及ぼす油脂源の影響を検討した。試験では,71週齢の産卵鶏27羽を,1)油脂無添加(対照)区,2)中鎖油脂(MCT) 5%区,および3)長鎖油脂(LCT) 5%区の3飼料処理区に割り当てた。各飼料には,β-カロチン製剤0.1%(β-カロチン100mg/kg)を添加し28日間の飼養成績,産卵成績,飼料中β-カロチンの卵への移行率および卵黄色を比較した。
卵黄中のβ-カロチン含量はいずれの区でも試験飼料給与後に増加し,7日目から14日目にほぼ一定となった。21日目の卵黄100g中のβ-カロチン含量は,LCT 5%区441μg, MCT 5%区248μg,対照区266μgであった。β-カロチン移行率(β-カロチン摂取量に対する卵黄中に蓄積したβ-カロチン量の割合)は,LCT 5%区0.59%, MCT 5%区0.34%,対照区0.41%であり,LCT 5%区がMCT 5%区よりも有意に高かった。卵黄色(ロッシュカラーファンスコア)は,MCT 5%区がLCT 5%区よりも有意に低くなった。産卵率および飼料要求率は,各区間に有意差は認められなかった。
これらの結果は,卵黄中のβ-カロチン含量および卵黄へのβ-カロチン移行率は,飼料中の油脂源に依存し,中鎖油脂より長鎖油脂で移行を高める働きが優れていることを示している。