日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
にんじん茎葉の給与が卵黄中のβ-カロチン含量および卵質に及ぼす影響 第2報
石川 寿美代立川 昌子早川 博
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2001 年 38 巻 6 号 p. J167-J176

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抄録

我々は農業副産物であるにんじん茎葉を有効利用する研究を行つている。これまでにβ-カロチンを含んでいるにんじん茎葉を産卵鶏に給与すると,卵黄中のβ-カロチン含量が高くなり,卵黄色が改善されることを明らかにした。
この研究は,にんじん茎葉の栄養価とにんじん茎葉の乾燥方法の違いがβ-カロチン含量に及ぼす影響にっいて検討するとともに,β-カロチンの卵黄移行量に対する飼料中油脂含量増加の効果について検討するために行つた。
常用される採卵鶏用配合飼料(以下対照飼料という),対照飼料ににんじん茎葉5%あるいは10%を添加した飼料およびにんじん茎葉10%に加えて大豆油を添加した飼料の4種類の試験飼料を産卵鶏に8週間給与した。
飼料に添加するにんじん茎葉の量が増加すると,飼料摂取量は低下する傾向がみられたが,産卵率は変わらなかつた。
卵黄中β-カロチン含量は,にんじん茎葉5%添加区と10%添加区で対照区に比べて有意に増加した(P<0.0)5)。特ににんじん茎葉10%添加区では対照区の約6倍の値になつた。にんじん茎葉10%添加区と同飼料に大豆油を添加した区との間には有意差は認められなかつた。また,β-カロチンの出納試験の結果においても油脂添加の効果はなかつた。
卵黄色(ロッシュカラーファンスコア)は,にんじん茎葉5%あるいは10%添加区で対照区に比べて有意に高くなつた(P<0.05)。しかし,これら2つのにんじん茎葉添加区の間には有意差は無かつたので,卵黄色だけの改善にはにんじん茎葉5%添加で十分効果があることがわかつた。
卵重,ハウユニット,卵形係数,卵殻強度および卵殻厚には,評価できるほどのにんじん茎葉飼料添加の効果はなかった。
以上のことから,飼料ににんじん茎葉を添加することによつて,高付加価値の鶏卵を産出させることができると考えられる。

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