動的な温度勾配・濃度勾配下における非平衡クロス効果の理論解析

抄録

温度勾配の下で分子が輸送される現象をSoret 効果と呼び、近年その理解が急速に進展している。これまでに我々は、高分子溶液中の静的な温度勾配下で、分子輸送の方向や輸送パターンが変化する非平衡クロス効果を見いだしている。最近我々は、動く温度勾配の下では輸送の競合だけでなく流動が生じること、さらに温度変化の周波数に共鳴的に流速が変化することを発見した。流動発生を解明するため数値解析を行い、温度分布前後で非対称な高分子濃度分布が生じることがわかった。この非対称分布から流動発生を説明する理論的モデルについて発表する。