主催: 一般社団法人日本物理学会
会議名: 2017年度日本物理学会第72回年次大会
開催日: 2017/03/17 - 2017/03/20
量子色力学(QCD)の第一原理計算である格子QCD計算は, QCDの非摂動的な振る舞いを計算することができる強力な手法である. しかし, 有限密度領域では符号問題が生じてしまい, 計算が事実上困難となる. これに対するアプローチの一つとして"Z_3_-QCD"がある. これは厳密なZ_3_対称性を取り入れたQCD-likeな理論であり, 零温度極限ではQCDに一致することが示されている. また, この理論による格子計算では, 有限密度における符号問題が通常のQCDよりも緩やかであると提案されており, これを用いることでQCDの低温高密度領域における新たな知見が得られることが期待される. そこで, 前講演("Z_3_対称性と符号問題")では, QCDから導かれるとされる3状態Potts模型を用いて, Z_3_対称性を取り込むことによる符号問題への影響について講演した. 今回は, 3状態Potts模型よりもQCDに近い模型である"effective Polyakov line model(EPLM)"を用いて, 上記の提案について検証した. 今回の講演では, EPLMによる計算の結果を見せる.