家畜繁殖学雑誌
Print ISSN : 0385-9932
副腎皮質ホルモンによるウシの流産及び分娩誘発
上村 俊一佐藤 邦忠小野 斉三宅 勝
著者情報
ジャーナル フリー

1977 年 23 巻 3 号 p. 85-92

詳細
抄録

1.54例のホルスタイン種乳牛と1例の短角牛の計55例に,副腎皮質ホルモンによる流産ならびに分娩誘発を試みたところ,妊娠日数60~135日の6例中3例が無効だったほかは,いずれもデキサメサゾン,ベタメサゾン10~20mg,1~3回注射で流産あるいは分娩誘発に成功したが,67.3%に胎盤停滞が発生した。
2.妊娠日数250~275日の3例,277~338日の6例ならびに自然分娩牛(対照)8例の計17例について,分娩前後の血中性ステロイドホルモンをRIA法で測定した結果,奇形児妊娠(長期在胎)牛の分娩前血中エストロジェン値の低いことが注目された。
3.分娩予定日の7~10日前に分娩させた6例のウシの1乳期の乳量を,試験前及び試験後の産次の乳量と比較したところ,試験時産次の乳量は試験前産次の乳量より平均600kg近い減乳であったが,試験後産次の乳量との比較ではほとんど増減はなかった。
4.分娩誘発が次回受胎率に及ぼす影響を自然分娩牛の場合と比較してみたが,差はみられなかった。

著者関連情報
© 日本繁殖生物学会
次の記事
feedback
Top