1980 年 26 巻 4 号 p. 183-187
3日齢から性成熟までの黒毛和種雌牛について,子宮の成長を組織学的に研究して以下の結果をえた。
1. 子宮腺は,3日齢の子宮では発現しておらず,29日齢の子宮において機能層及び基底層の一部に発現していた。その後,日齢の進行とともに子宮腺は発達し,内膜機能層及び基底層において子宮腺の形質や分布状態が一定となるのは,性成熟時であった。
2. 性成熟期以前の子宮では,内膜が筋層に比べて厚い。しかし日齢が進むのにつれて両層とも厚くなり,性成熟時には両層ともほぼ3mmを少し越えて等しい厚さを示した。
3. 子宮内膜の表面上皮は,各日齢を通じて小丘領域より小丘間領域で高い傾向が認められ,性成熟期以後のもので,ほとんど円柱上皮であった。
4. 性成熟期以後,子宮は妊娠が成立しない限り,組織学的にはほとんど変化しないでとどまることが示唆された。