日本繁殖生物学会 講演要旨集
第104回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-39
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内分泌
長日条件下でのメラトニン処理がSalsolinolによるヤギのプロラクチン放出反応に及ぼす影響
*橋爪 力八重樫 朋祥金 金後藤 由希遊佐 瞳澤井 健
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抄録
【目的】ドーパミン(DA)の誘導体,Salsolinol (SAL)は新しいプロラクチン(PRL)放出因子である。しかし,その分泌特性や機構については明らかでない。一方,反芻家畜のPRL分泌は,日長により変化する。本研究は,メラトニン(MLT)とSALによるPRL分泌との関係を知るために,ヤギを長日条件下で飼養し,MLT処理した時のSAL によるPRL放出反応を,DA拮抗薬やTRHと比較した。
【方法】成熟雌シバヤギを室温20℃に設定した人工気象室内で,16時間明,8時間暗の人工照明下で飼養した。この条件下で3週間MLT(4 mg)を毎日16:00と20:00に2回経口投与した(MLT処理区)。対照には生理食塩水を同様に投与した(対照区)。MLT処理区および対照区にSAL(5 mg/kg b.w.) ,スルピリド(DA拮抗薬、0.1 mg/kg b.w.) ,TRH (1 µg/kg b.w.)をそれぞれ静脈内投与して血中PRL濃度の変化を比較した。採血は12:00~15:00に行い,13:00に試験物質を投与した。血漿中PRL濃度はRIAで測定した。
【結果】(1) MLT処理区の血中MLT濃度は対照区に比べ高かった(P<0.05)。(2) MLT処理区の血中PRL基礎濃度は対照区に比べ低かった(P<0.05)。(3) MLT処理区の SAL,スルピリド,TRHによるPRL放出反応は対照区のPRL放出反応に比べ低かった(P<0.05)。(4)対照区のSAL,スルピリド,TRHによるPRL放出反応には差は見られなかったが,MLT処理区においてはSALとスルピリドによる反応はTRHによる反応より高かった(P<0.05)。 
本研究の結果は,SALによるPRL放出反応はスルピリドやTRHと同様,MLTにより修飾されることを示す。
本研究は科学研究費補助金(21380169)で行われた。
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© 2011 日本繁殖生物学会
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