日本繁殖生物学会 講演要旨集
第104回日本繁殖生物学会大会
セッションID: OR1-16
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生殖工学
受精卵への顕微注入法を介した、部位特異的トランスジェニックマウス作製法
*大塚 正人三浦 浩美木村 穣猪子 英俊
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抄録

【目的】受精卵の前核内にDNAを顕微注入法で導入する方法は、トランスジェニック(Tg)マウス作製法として一般的であるが、この場合、導入遺伝子の挿入位置とコピー数を制御することは困難である。その結果、導入遺伝子の発現量にばらつきが生じたり、他の遺伝子を潰している恐れもあるため、複数系統のTgラインを樹立して調べる必要がある。ES細胞での相同組換え法を介することにより、上記問題点を回避することが可能ではあるものの、Tgマウスが得られるまでに多くの時間、コスト、労力を要する。そこで我々は、受精卵への顕微注入法に部位特異的組換え系を応用し、狙った遺伝子座位へ目的遺伝子を導入することによって、再現性良い遺伝子発現を示すTgマウス作製法の開発を目指した。【方法】まず、遺伝子ターゲティング法を利用して、変異型loxP配列をゲノム上の既知の遺伝子座位(Rosa26、またはH2-Tw3)に導入した。次に、得られたノックインES細胞からマウス(種マウス)を作製し、種マウスから得られた受精卵の前核に、変異型loxP配列を有する導入べクターと、Cre発現ベクターとを同時に顕微注入した。部位特異的組換えによる遺伝子導入効率と、得られたTgマウスにおける目的遺伝子発現の再現性等を調べた。【結果】これまでに16種類の導入ベクターについて顕微注入を行った結果、全てのコンストラクトで目的のTgマウスが得られた。その導入効率は4~5%であり、またファウンダーマウスの90%以上で次世代への導入遺伝子の伝搬が確認された。様々な蛍光遺伝子を発現するTgマウスも作製したが、全ての系統において導入遺伝子の発現は強く安定していた。異なるファウンダーに由来するマウス間においても、遺伝子発現強度、パターンに再現性が見られた。さらに、本手法を用いて、再現性の良いノックダウンマウス作製にも成功している。今回開発した手法は、導入遺伝子発現の再現性の高さからも、次世代型のTgマウス作製法の一つとして期待される。

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