日本繁殖生物学会 講演要旨集
第107回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-32
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内分泌
キスペプチンニューロンを介したGnRH部分ペプチドによるLH分泌促進
*家田 菜穂子美辺 詩織井上 直子上野山 賀久前多 敬一郎束村 博子
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抄録

【目的】キスペプチンは性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)/黄体形成ホルモン(LH)分泌の制御を介して動物の生殖機能を第一義的に制御する視床下部ペプチドである。一方で,キスペプチンニューロンの活動をさらに上位から調節・制御する神経系は未だ明らかになっていない。これまでのトランスクリプトーム解析により,キスペプチンニューロンに発現する受容体を検索した結果,GnRHの部分ペプチドであるGnRH-(1-5)に対する受容体が,弓状核キスペプチンニューロンに発現することを見出した。よって本研究では,GnRH-(1-5)がキスペプチンニューロンに直接作用し,GnRH/LH分泌を制御するとの仮説を証明することを目的とした。【材料と方法】Wistar-Imamichi系統の8~10週齢雌ラットに卵巣除去または卵巣除去およびエストロジェン代償投与を施した。すべての個体に脳室内カテーテルおよび右心房内カテーテル留置手術を施し,6分間隔3時間の連続採血中にGnRH-(1-5) またはvehicleを第3脳室内投与した。血中LH濃度をラジオイムノアッセイ法により測定した。【結果および考察】卵巣除去,卵巣除去およびエストロジェン代償投与の両モデルにおいて,GnRH-(1-5)は投与直後から血中LH濃度を上昇させ,その効果はおよそ3時間持続した。GnRH-(1-5)投与群では,Vehicle投与群と比較して血漿LH濃度の曲線下面積が増加し,LHパルスの基底値が上昇する傾向が見られた。以上の結果より,GnRHの部分ペプチドであるGnRH-(1-5)は,弓状核キスペプチンニューロンに直接作用し,GnRH/LH分泌を促進することが示唆された。

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© 2014 日本繁殖生物学会
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